石綿肺とは
石綿肺(アスベスト肺)とは、アスベスト高濃度ばく露によって発生するじん肺である。(病理組織学的には、細気管
支周囲から始まるびまん性間質性肺炎である)
症状としては労作時の息切れ,空咳。
通常アスベストばく露から10年以上経過して発生する。
診断には、
(1)石綿ばく露歴があること。
(2)胸部エックス線写真で、両側下肺野の線状影を主とする異常陰影(じん肺法による胸部エックス線の像の型
の区分が1型以上)があること。しばしば両側性の胸膜プラークや、びまん性胸膜肥厚を伴う。
(3)持続性の両側肺底部(肺の下部)の吸気性捻髪音(パリパリした音)があること。
(4)肺機能検査で異常があること(拘束型換気障害を主とする)。
(5)他の類似疾患や石綿以外の原因物質による疾患がないこと。
この5つの要件のうち(1)、(2)、(5)は必須であるとされている。
注1,画像上類似疾患 @アルミニウム肺 A吸気不十分な条件や多量喫煙者の場合
注2,軽度(早期)の石綿肺の診断に際しては胸部CT(HRCT)の所見が参考になるが、決め手とはならない。
むしろ、石綿以外の間質性肺線維症(特発性間質性肺炎、膠原病や薬剤性、感染症による間質性肺炎)との鑑別に
は、胸部CT検査での胸膜プラーク所見の方が重要である。
注3,最終的には病理学的診断が必要なことも多い。経気管支肺生検ではアスベスト小体を伴う線維化病変の
存在など。
石綿肺死亡数
厚生労働省人口動態統計より
年代
|
男
|
女
|
計
|
1971-75
|
18
|
10
|
28
|
1976-80
|
24
|
8
|
32
|
1981-85
|
34
|
11
|
45
|
1986-90
|
59
|
17
|
76
|
1991-2000
|
117
|
24
|
141
|
計
|
318
|
92
|
410
|
注 石綿肺の業務上認定数はじん肺に包括されているため
厚労省の統計では報告されていない(と思います)。
|