石綿小体

 アスベスト小体(石綿小体)とはアスベスト繊維がフェリチンやヘモジデリンなどで被覆されたものをいい、胸膜プラ
ークと同様、過去のアスベストばく露の重要な指標である。
 通常直径は2〜5μmで、金色から褐色の鉄アレイ様の独特な形態を示す。
 まれにアスベスト以外のものでもアスベスト小体様のものを形成することがあり含鉄小体と呼ぶ。
 アスベスト小体が喀痰から検出される場合は職業性アスベストばく露と診断してよい。

 検査方法としては次亜塩素酸ソーダや水酸化カリウム液を用いて肺組織を溶解する方法と、脱灰法がある。


肺組織中の石綿小体濃度による石綿曝露レベルの評価
「産業保健ハンドブック 石綿関連疾患」より
肺組織中の石綿小体濃度
;石綿小体数 AB/g (dry lung)
   石綿曝露レベル 
<1000
一般住民レベル(職業曝露の可能性は低い)
1000〜5000
職業曝露の可能性が強く疑われるレベル
>5000
職業曝露があったと推定できるレベル
 石綿新法においても石綿肺ガンの認定に関連して、石綿肺やプラークがなくても一定量以上の石綿ばく露の指標
として「乾燥肺重量1gあたり5000本以上の石綿小体もしくは200万以上の石綿繊維、または、気管支肺胞洗浄液
1ml中5本以上の石綿小体」と決められている。

石綿(小体)の検出
試料
痰、洗浄液、肺組織
方法
光学顕微鏡
位相差顕微鏡
電子顕微鏡


光学顕微鏡写真;肺組織中の石綿小体
(「呼吸器CT診断」より)
 
 
気管支肺胞洗浄液中の石綿小体


走査電子顕微鏡写真;
 「繊維の形態(直線的,カール状)/表面の性状(粗,滑)/中空の管状構造」で表現


分析電子顕微鏡写真;繊維の構成成分を分析(Mg, Fe, Si, Na)
左のピークがSi、右のピークがFe