(アスベスト・じん肺支援福井センター事務局作製)

1,石綿救済新法

 「隙間のない健康被害者の救済」
 → 「石綿による健康被害の救済に関する法律」  2月3日国会成立 3月末施行。

 今後の被害の未然防止策
 → 「石綿による健康等に係わる被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案」
  @大気汚染防止法の一部改正
  A地方財政法の一部改正
  B建築基準法の一部改正
  C廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正


2,認定の対象者

 労災補償
  石綿ばく露作業に従事した(したことのある)労働者

 救済給付 
  @石綿工場周辺に住んでいた住民
  A夫らが石綿の作業着を持ち帰ったことで発症した家族
  B労災に加入していなかった個人事業主(一人親方)
  C労災申請時期(死亡から5年)が過ぎて時効となった元   従業員


3,認定の対象となる疾病
 
労災
救済給付
石綿肺
×
肺ガン
中皮腫
良性石綿胸水
×
びまん性胸膜肥厚
×


4,労災認定基準の改正 (06年2月9日 厚生労働省)
  中皮腫
1型以上の石綿肺
ばく露歴1年以上
胸膜プラーク
石綿小体か石綿繊維
業務上・外
認定
×
認定
×
×
認定
×
×
×
本省協議
×
×
本省協議
×
×
×
本省協議
×
×
×
×
認定*
  *中皮腫の確定診断(病理組織学的検査)がされていることが確認できれば、
    ばく露歴や医学的所見を問わずに認定


5,労災認定基準の改正 (06年2月9日 厚生労働省)
  肺ガン(原発性)
1型以上の石綿肺
ばく露歴10年以上 
胸膜プラーク
石綿小体か石綿繊維 
業務上・外
ばく露歴あり
認定
×
○*
認定
×
○*
×
認定
×
ばく露歴あり
×
一定量以上あり**
認定
 *  10年未満の例は本省協議
 ** 乾燥肺重量1gあたり5000本以上の石綿小体もしくは200万以上の石綿繊維、
     または、気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体


6,特別遺族給付金
 労働者等の遺族で、労災保険法の遺族補償給付の支給を受ける権利が施行日に時効で消滅している場合に支

 対象疾病と認定基準は労災認定の5疾病で同じ。
 給付額
  年金 遺族数が一人;240万円〜4人以上;330万円まで
  弔慰金 1200万円
 
 支給に係る申請の受付については、3月末から、労働基準監督署等で行われる。申請には死亡診断書や戸籍謄
本など所要の添付書類が必要となる。年金は、申請のあった月の翌月から支給される。


7,救済給付指定疾病の認定基準 (06年2月9日 環境庁・厚生労働省)
 中皮腫
 *胸膜・腹膜・心膜・精巣鞘膜中皮腫であれば認定。
 *病理組織検査記録等が求められ、確定診断が適正に行われているか確認する。
 *病理組織検査が行われていない例では、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果、他疾患との鑑別の根拠等を主
   治医から求め、専門家による検討を踏まえて検討する。

 肺ガン  
胸部XPで1型以上
の石綿肺
胸部CTで肺線維
化所見
胸膜プラーク(胸部
XP・CT)
一定量以上の石綿小体か
石綿繊維*
認定
×
×
×
認定
  *乾燥肺重量1gあたり5000本以上の石綿小体もしくは200万以上の石綿繊維、
    または、気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体

8,指定疾病の認定者への救済給付
本人への給付
  医療費   石綿健康被害医療手帳交付 窓口自己負担なし。
  療養手当 月10万円
  葬祭料   20万円
  救済給付調整金(法施行前に発症し施行後2年以内に死亡し  た場合) 280万円

法施行以前に死亡した遺族への給付 (請求期限は法施行日から3年以内)
  特別遺族弔慰金 280万円
  特別葬祭料     20万円

 申請の受付については、3月末から、環境再生保全機構(電話番号:044-520-9501)及び環境省地方環境事務
所(全国7箇所)で行われる。また、準備が整い次第、保健所等でも受付を行う予定。申請には医師の診断書や戸
籍謄本など所要の添付書類が必要である。


新法の問題点(福井センター事務局)

これだけの石綿被害を未然に防げなかった国の責任をまず明確にすべきである。 

(1)認定の対象となる指定疾病と認定基準の問題点
 石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚が対象疾病から除外されている。職業性ばく露しかないこれらの疾病
を数が少ないという理由で「必要に応じて将来これらを指定疾病とすることはあり得ます」という説明がそもそも説明
になっていない。石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚は良性疾患ではあるが責任ある対応をすべきではない
のか。

(2)救済給付における指定疾病ごとの認定の考え方の問題
労災認定基準とことなり救済給付における肺ガン認定基準がが厳しくなっている。
「石綿による健康被害に係わる医学的判断に関する検討会第2回、第3回検討会メモ」において胸膜プラークの肺ガ
ン発症リスクは「疫学調査の結果として、1.3倍〜3.7倍と幅がある」との指摘や「胸膜プラークのみでは1.4倍、1型
以上の肺線維化所見がある場合の発症リスクは2.3倍になる」との指摘もある。結局、発症リスク2倍を救済ラインと
した、医学的根拠はどこにあるのか。これでは、大工など日本の建設業を支えてきた労災未加入労働者で、プラーク
のみを有する肺ガン患者の多くは救われない。喫煙歴のないプラークを有する肺ガン患者すら対象にならないのは
極めて問題である。

(3)指定疾病に係る認定の有効期間の問題
 「一般的に、中皮腫、肺がんなどの悪性疾患については、‥認定期間を5年間とすることを考えております。」の部
分は「5年を過ぎても治療が継続しておれば認める」とか、あるいは、「医師が必要と認める期間においては認める」
と明確に記載すべきではないのか。

(4)救済給付の額についての問題
 すでに各方面から指摘されていることであるが、労災申請時効の遺族と住民遺族との、天地の差である給付格差
は論外である。近隣ばく露の被害者である被害住民の責任は誰がとるべきなのか。?「隙間のない健康被害者の救
済」 に最も背く内容である。差別なく国の責任で平等な給付をすべきではないのか。

(5)隙間からもれている多くのばく露者の問題
 胸膜プラークを有する住民や一人親方など、今後健診を行っていくべき対象者が多数存在する。プラークを有する
人はアスベストばく露者であり、プラークは中皮腫のリスクであることは広く認知されている。従ってプラークのみを有
する人についても、労災に準じた「石綿健康管理手帳」を支給し、健診については少なくても公費の対象とすべきで
はないか。